連載『がんを生き抜く』その36

そして、不安に押し潰されそうになって知り合いを呼び、相談の結果、友人の車でとある指定病院に飛び込むことになったのである。ここでの整形外科医の診断は、肺がんの骨転移で、すぐに手術ということだったそうだ。小細胞肺がんからの骨転移の可能性を示唆されたのは、この病院でのことである。

当然、何もわからず、すぐに緊急手術といわれても本人も親族も冷静な判断などできない。一度、セカンドオピニオンを受けて他の治療の選択肢がないか確認したいということで、知り合いの勧めで群馬にある重粒子線治療を引き受ける病院に転院した。

重粒子線治療は、夢の治療のように思われているが、実際は転移がなく完治が見込めるがんに対してしか、適用されないケースがほとんどである。彼女の場合も、重粒子線治療への適用は認められず、あらためて前の病院へ連絡すると、そのときの主治医は再度の診療を拒んだ。主治医は、電話にも出てくれなかったそうだ。

群馬の病院の先生から何度もお願いしてもらったが、一向に埒があかない。

どうも、脊椎損傷で下半身麻痺の状態で担ぎ込まれた場合、48時間以内の緊急的な手術ができなければどちらにしろ麻痺は治せないから、整形外科では受け付けない、といわれたようだ。本音は、お荷物になる患者は受けたくない、ということだろう。

結果、知り合いの配慮で、駒沢にある病院の呼吸器内科で彼女を引き受けてもらえることになった。

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