連載 『進行がんを眠らせる』 その145

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さまざまな工夫と改良の結果、以下の方法が、当時のLAK療法の基本となりました。

アフェレーシス(白血球分離)という方法で患者さんから大量のリンパ球を取り出します。次に、対外で数日間培養し増殖させます。この増殖させた大量のLAK細胞とインターロイキン2の大量併用投与です。体内において、インターロイキン2がLAKをさらに活性化し腫瘍巣を攻撃することを期待したわけです。

インターロイキン2は体内に入ると数分で分解してしまうので、続けざまにできるだけ多くのインターロイキン2の並行投与が必要でした。インターロイキン2は体内でもともとできる物質ですから、少量ならば副作用はまったくないのですが、限界ぎりぎりまでの投与はさすがに副作用をともないます。場合によっては命を落としかねません。

いまから考えると、かなり無謀なやりかたであると思われますが、その当時の技術水準と知識では、暗闇の中を手探りで歩くような状態だったのかもしれません。

結果として、一人の末期的状態の女性患者が命を救われることになりました。彼女は悪性黒色腫(メラノーマ)に侵されており、全身にがんが転移している状態でした。

メラノーマは白色人種に多い皮膚がんの一種ですが、がんの種類としてはもっとも悪性度が高いものの一つです。増殖速度が速く、簡単に全身に転移してしまいます。メラニン色素を多くふくみ、黒っぽい腫瘍を形成することからこの名前がついています。

この女性患者の症例から、LAK細胞療法が世界的な脚光を浴びることになるのです。

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