連載 『進行がんを眠らせる』 その128

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また、がん細胞の中には、キラーT細胞がアポトーシス(自殺)を指令するFAS経由のシグナル伝達機構をはたらかせないよう、そのスイッチとなる細胞表面の受容体を消失させてしまうものがあると考えられています。さらにがん細胞は、ヘルパーT細胞やマクロファージにはたらきかけて免疫を「液性免疫」のほうに傾け、リンパ球の活動を抑え込んでしまいます(=免疫抑制)。

がん細胞を構成する組織の約60%は、間質とよばれる高密度の結合組織です。この硬いシコリのような組織もリンパ球の侵入を妨げる要因になっていると考えられます。

がん細胞はこの間質に接着して居場所を固定しますが、これは間質がなければ組織として成長できないことを意味し、実際、成長しながら間質をつくり上げるようなことをしています。

がん細胞が生き残るために見せるさまざま手段は、すべて細胞内の遺伝子が指示しています。その遺伝子がコードするたんぱく質を特定し活動を抑制し、無効にしていく方法がわかれば、がん細胞の生き残り作戦を封じることができます。そして、がん細胞の戦略を一つ一つしらみつぶしに破壊していくことが、これからのがん治療の進むべき方向といえるのです。

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