連載 『進行がんを眠らせる』 その83

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アリの集団にみる遺伝子ネットワーク

遺伝子ネットワークという考え方を説明するうえで、格好の材料となるのがアリやハチです。アリとハチは祖先を同じくし、進化の過程で分かれているだけですから、ここではアリを例にとって説明します(興味のある方はドーキンスの「利己的な遺伝子」をお読みください)。

一つの巣の中に女王アリが一匹いて、残りのアリはそれぞれの役割に応じて仕事をします。女王アリの仕事は卵を産むことです。ほかのアリはそれを助けるためにひたすら努力しますが、これも個々のアリがそうしようと考えて行動しているのではなく、遺伝子のプログラムの中にすでに組み込まれているのです。

非常に興味深いのは、女王アリが最初から女王アリとして特別に生まれてきた存在ではないということです。もっている遺伝子構成は、働きアリと何ら変わるところがないのです。もし女王アリを巣の中から取り出してしまえば、どのアリでもかまわない別のアリが女王の座を手にするだけです。

私たち人間には、女王アリは働きアリの上に君臨している特別な存在のように見えますが、働きアリの遺伝子ネットワークから見れば、みずからの遺伝子を卵にして生産してくれる効率のいい工場みたいな存在なのです。

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